留学
今回は、教員を辞めてオーストラリアに留学に行ったときの話をしたいと思います。留学生活においてスイングダンスは本当に重要な役割を担っていました。後から振り返ればスイングダンスやってて本当に良かったと思ってます。これから留学行く人全員にオススメしたいぐらいです。
留学のイメージと現実のギャップ
仕事を辞めた理由は、スイングダンスが関係無いと言えばそんなこともないんですが、その辺は次回のコラムで書きます。とにかく仕事を辞めてオーストラリアに語学留学に行くことに決めました。
「留学に行く」と言えばどんなイメージを持つでしょうか。
- 毎日英語を話すから、英会話がどんどん上手くなる
- 地元の友達がたくさんできる
こういうのは誰もが持つイメージだと思います。それらは間違っているとは言いませんが、留学に行ったとしても意外と難しいです。
毎日英語を話す難しさ
留学に行ったとしても、生活するだけなら意外と英語は必要ありません。買い物でも一言も話さないのは普通で、家でもシェアハウスだったら、そこまでベラベラ喋るかというとそうでもない感じです。(そしてホームステイよりシェアハウスの方が気楽なのでみんなシェアハウスに流れていく感じでした。)
じゃあ英語を使いに行こうと思って出かけたとしても、どこに行けばいいのか分かりません。図書館が主催する英語学習者向けのお喋り会は結構頻繁に開催されているのですが、そのような会では「ネイティブの人や英語がネイティブレベルの人と友達になって自然な会話をする」ということはほぼ皆無です。みんな英語学習者ですから。
また、自分はバイトはしてませんでしたが、もしバイトしたとしても英語ができなければ英語が必要ない仕事を任されて英語力は伸びないとかもありがちなパターンです。英語を勉強する時間も削られるので、結構キツいかもしれません。
友達作りも難しいです。はっきり言ってどこに行って何をすればネイティブの人たちと接点が持てるのか全く分かりません。自分が行っていたのが語学学校だったので余計に難しかったです。
もちろんこれら全てが必ず留学する人全員に当てはまるというわけでは無いんですが、自分は周りでは結構ハマりがちで一般的な悩みであったように思います。
趣味がスイングダンスで本当に良かった
自分にはスイングダンスがあったので、そういう悩みとは無縁でした。
出国する前からFacebook上でスイングダンスグループを探し、着いて1週間ぐらいでダンスイベントに参加し、さっそくネイティブの人たちと知り合うという展開の速さ。後はどこでレッスンをしているのかを聞いて、みんなが通っているところに自分も通うだけです。レベル差があっても関係ありません。むしろ上達したいなら誰でもウェルカムです。
実をいうと自分が行った場所ブリスベンではリンディホップではなくバルボアが主流です。
※リンディホップとバルボアは同じスイングダンスというカテゴリーに入り、速い曲はバルボア、ミドルスピードはリンディがよく踊られます。
リンディですらその時は始めてから1年半しか経っておらず、バルボアの経験はほぼ皆無で、行った当初は全く踊れませんでした。でも留学中全く踊れないなんてつまらないので「みんなについていけるようになりたい」という一心でレッスンに通い、周りのみんなもその向上心を温かく受け入れてくれました。(ちなみに昔はリンディホップが主流だったそうなのでみんなリンディも踊れます。)
毎週月・木はリンディのレッスン、火曜日はバルボア、日曜日は夕方にレストランのジャズライブにみんな集まってバルボアを踊るという日々。みんなについていくのは本当に大変でしたが、とても楽しかったです。
また、何度も通っているとやはり固定メンバーが結構な割合を占めているのが分かります。それはつまり何度も顔を合わせるうちに世間話とか普通にするようになって自然と仲良くなれるということです。もちろんネイティブ同士の会話はめちゃくちゃ速いので、それに飛び込むのは結構な気合が要りますが、1対1ならこちらのペースに合わせてくれるので比較的楽です。英語のスキルが上がればネイティブ同士の会話にも飛び込めます。
とにかく必死になって彼らとコミュニケーションを取り、リンディ・バルボア関連のイベントにはできる限り参加した結果、オーストラリアでの自分の居場所とも思えるようになりました。地元のコミュニティの中にそういう場所が作れたのは、温かく迎えてくれたみんなと、つないでくれたスイングダンスのおかげです。
思い出に残った2つの出来事
毎日が楽しかったオーストラリア留学ですが、特に印象に残っている2つの出来事があります。どちらもスイングダンスをやっていなかったら絶対できなかったことです。
左官もえさんのワークショップ
留学中のある日、この日本スイングダンス協会の理事長である左官もえさんが、ダンスパートナーのVincenzoと一緒に11月の週末にシドニーに来るというニュースを聞いたときは、この世でこんなことあるのかってぐらいに驚きました。リンディホップの大きなイベントのゲストで、ワークショップの講師をすることになっていました。
もえさんとは、2018年の1月ぐらいに大阪で初めてお会いしたんですが、その頃自分はまだまだペーペー。でもそんな自分とも踊ってもらえたのがとても印象に残っていました。普段はイギリスを拠点に活動をしているのでなかなかお会いできないんですが、そんな方が自分の留学中にオーストラリアに来るならそりゃもちろん行きますよ。
オーストラリアのダンスメンバーにそんな話をしていたら、ブリスベンのダンスグループのモデレーターをしていたTrangが一緒に行かないかと誘ってくれました。正直もえさんに会いに行くならどんな方法でも行くつもりでしたが、やはり地元の人が一緒に行ってくれるのはとても心強かったし、留学中のオーストラリア国内旅行はこれが初だったので、そういう意味でもとてもありがたかったです。泊まる場所はTrangが予約してくれたので自分は飛行機取って行くだけでした。
実を言うと、普段住んでいるシェアハウスは日本人の経営だし、学校に行けば日本人学生も居るので、ブリスベンに居るときはあまり孤立感は感じていませんでしたが、シドニーに着いたときは「いよいよ来るところまで来てしまった感」がありました。自分を取り巻く人、手助けを出してくれる人はほぼ全員英語しか話しません。もえさんは居ますが、イベントのメインゲストなので自分にずっと構ってくれるわけではありません。さらに、Trangが一緒についてきてくれたことで心強かった反面、自分一人の気楽なぶらり旅ではなくなったので、きちんとコミュニケーションを取ってちゃんと予定をこなしていく必要があります。2泊3日だけでしたが、何もお膳立てされていないリアルな英語の世界に飛び込んだ感覚でした。
とにかく踊ってとにかく喋ってとにかく楽しかったです。
ワークショップのリキャップ(最後におさらいとしてお手本ダンスを先生が踊ること。その時大体みんなビデオに撮ります)は今でもたまに見返します。イベントの打ち上げでオペラハウスの下で飲んだのも最高の思い出です。是非また行きたい。
Gregoryを訪ねてパースへ
GregoryとはOLE(Osaka Lindy Exchange:大阪の国際的なリンディホップのイベント)で出会いました。Gregoryはパースに住んでいて、そのときはOLEのために大阪に来ていました。初対面だったけどとても話しやすく、短い時間だったけどすぐ仲良くなり、今でも連絡を取り合っています。
自分が留学でオーストラリアに着いたことをFacebookに載せると、すぐに連絡をくれて「パースにおいでよ」と誘ってくれました。もちろん行きたかったんですが、新天地の新生活に慣れるのに必死でなかなかタイミングが取れず、結局12月(ちょうどCambridge英語検定が終わった直後)に。でもとにかくGregoryを訪ねてパースに行くことになりました。
また国内旅行です。しかも今度は正真正銘英語のみで4泊5日の旅。
Gregoryの家に泊めてもらって、色んな所に連れて行ってもらいました。夕方にビーチに行って、落ちる夕日を見ながらフィッシュアンドチップスを食べたり、ジェラート食べに行ったり。朝、仕事前に海でひと泳ぎなんてことも体験させてもらいました。なんて自由なところなんだろう。また、Gregoryのお父さんが田舎の方に住んでいるから一緒に遊びに行くことになって数時間フリーウェイを車で爆走し、途中全く何もないところで寄り道したら全く誰もいないビーチがあっちからこっちまで見渡す限り広がっている、とか。すげぇ。しかもGregory曰くパースの天気はほぼ晴天だそうで、飽きるほどらしい。でも自分が行った12月はオーストラリアでは夏だったにもかかわらず、そんなにいうほど暑くない。最高。
ダンスにももちろん一緒に行きました。パースではここ!というぐらい有名なMustang Barというところに一緒に行って散々踊って喋ってすぐ地元の人と仲良くなるという、もう普通ならありえないレベルでの溶け込みの早さ。スイングダンスをやってると本当にきっかけ作りに苦労しません。そしてなんと、彼女と一緒に行ったマレーシア旅行で参加したリンディイベントの、ゲストバンドに再会するという奇跡。実はパースが拠点で、毎週金曜日にMustang Barでライブをやっているとのこと。他の国の国際イベントに呼ばれるような人たちがここで毎週金曜日にライブやってるとか、どんだけパース最高やねん!
とまあ、冗長にならないようにサクッと書きましたが、もうこの感動は筆舌に尽くしがたいものでした。スイングダンスを始めたからこそだけど、まさかこんなことになるなんて想像もつかなかったですね。
まとめ
留学中、スイングダンスを通じて人と知り合い、あるいは再会し、本当に充実した留学生活になりました。そもそもは英語習得のための留学だったんですが、言語はコミュニケーションのためにあるものです。教科書とノートで勉強することもいいけど、やはり人との接点をどれだけ作るかが上達の一番の鍵になると思っています。
とはいえ、異国の地で不慣れな言語を使って人との接点を作るのは普通は難しいものです。自分の場合、スイングダンスというコミュニケーションツールがあったおかげで、そんな苦労は皆無でした。本当に今後留学を目指す人には全員にスイングダンスをオススメしたいです。